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「キ族」ってなに?「キ」が言いづらい発音のクセや特徴を言語聴覚士が解説

発音・大人の発音矯正
2026.02.09 更新

最近、SNSやネット上で「キ族」ということばを見かけるようになりました。
キ族ということば、はじめは耳慣れないものでしたが、側音化構音(そくおんかこうおん)という発音の特徴を持つ方々を指すネットでの俗称のようなもののようなのです。
当相談室、「ことばの相談室ことり」では、側音化構音の方のご相談・発音矯正レッスンを多くお受けしています。

一見「滑舌のクセ」や「個性」として片付けられがちですが、当事者のお悩みは深いものがあります。
今回は、この「キ族」こと側音化構音について、解説します。

「キ族」の正体は、息の横漏れ

側音化構音(Lateral Misarticulation)とは、本来は舌の真ん中を通って出るはずの息が、舌の脇(側面)から漏れてしまうことで音が歪む状態を指します。

日本語における特徴

日本語では、特に「イ段(き・し・ち・り)」の音で起こりやすいのが特徴です。

  • 「キ」が「ヒ」に近い鋭い音に聞こえる
  • 空気が頬の隙間から抜けるような、独特の摩擦音が混じる

これらは「側音化構音(そくおんかこうおん)」と呼ばれる、舌を上あごに広く近づける音で発生しやすいため、特定の単語だけが少し違う響きになります。

視点を変えれば「正統な発音」?言語の多様性

面白いことに、この「側音化構音」と同じ出し方の音が、世界のどこかでは「正しい発音(音素)」として使われていることをご存知でしょうか。

特定の言語では、この音は独立した正式な音として扱われます。日本語の枠組みでは「歪み」と定義されますが、場所が変わればそれは「聞き慣れた正統な音」になります。

たとえばもし100年後、日本でこの発音をする人が多数派になったとしたら?――その時、この音は「日本語の新しいスタンダード」とされているかもしれません。言葉は時代と共に変化するものなのです。

悩んでいる人も多い

ことばの相談室ことりにレッスンに来られる方には、子どもの頃はあまり気にしていなかったものの、思春期を経て成人してからは「キ」を避けて話すことが得意になったとおっしゃる方も居ます。

たとえば、「聞こえる」じゃなくて「音がする」、「危険」じゃなくて「あぶない」のように、「キ」を咄嗟に予期して別の言葉を探すことが習慣になっているというエピソードを語る方もいます。
避けようとしてもそれでもつい言ってしまうと、そのあとはすごく落ち込むそうで、軽い悩みだと思われがちで周囲にはなかなか理解されづらいのです。

「個性」か「矯正」か、選ぶのはあなた自身でOK

現代の日本では、この発音は「構音障害(音の歪み)」の一つに分類されています。しかし、それをどう捉えるかは人それぞれです。

他の人と違う話し方は、「個性」や「自分らしさである」

アナウンサーやタレントの中にも、この発音を一つのチャームポイントや「声のキャラクター」として、そのまま活躍されている方がいらっしゃいます。コミュニケーションに支障がなければ、自分だけが持つ「響きのクセ」として気にしなくてよいというのも、もちろん、尊重されてよい意見です。

自分自身で気にしていない人に周りがとやかく言う必要はありませんし、ましてや、からかったり、悪口の対象にするのはいけないことだと思います。
話し方もその方の個性・その人らしさのひとつで、外見と同じく尊重されるべきものです。

「矯正」して自信をつける

ご本人の意思で、「もっとクリアに伝えたい」「仕事柄、標準的な発音を身につけたい」という場合は、言語聴覚士によるトレーニングで改善することが可能です。

ことばの相談室ことりが伝えたいメッセージ

「キ族」ということばが広まることで、今まで「自分の滑舌、何かが違うけど正体がわからない」と悩んでいた方が、その理由を知るきっかけになれば幸いです。

ことばの相談室ことりでは、あなたの「どうありたいか」を一番大切にしています。もし、ご自身の発音で気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。