発音の誤りの一つで、特定の音が正しく発音されず、代わりに息が舌の側面から漏れるような音になってしまう状態を指します。
「し」「ち」「じ」「き」「ぎ」「り」「に」「ひ」など、
五十音表の「い」の段が言いづらいことが多いです。
側音化構音は、自然に治りにくい発音です。ことばの相談室ことりでも、大人の方からのご相談の多い発音の1つです。
最も獲得に苦労するのが、この3つの音です。この3音は、ほとんど出し方が同じなので、3つとも同時並行で練習を進めていくのがオススメです(1音ずつ進めてていると、他の音の歪みに釣られてせっかく練習した音が元に戻ってしまうことがあるのです)。
舌の面をたいらに、横や後方ではなく、前方に動かします。後ろに動かす音だと思っていた、とびっくりされる方も居ます。
「ち」「し」「じ」の音の歪みを悩んでご相談に来られた方、よくよく聞くと「に」「り」の音も歪んでいることがあります。
「に」の歪みはわかりづらく、「り」の発音は一般的に個人差が大きい音なので、歪んでいることをご本人でもあまり気がついていないことがあります。
「に」は、舌面前方をぺたっとつけて真っ直ぐ下に離す…と、ご説明します。
「り」は、舌をくるっと反転させて上の歯の歯茎よりも後ろ側に当て、顔の正中軸に沿って振りおろす(はじく)…とご説明します。
「顔の正中軸に沿って〜」などは、やや独特な表現です。
文章では伝わりづらいため、お悩みの方はレッスンを予約していただければと思います。
「り」の音は1回1回の発音における舌の動きが大きく、スピードも速いため、よい筋力トレーニングになります。「り」を練習しているうちに舌の筋力が付き、他の音も言いやすくなってくる、ということがあります。
「き・ぎ」に限らず、カ行・ガ行は舌の奥で出します。
試しに、「が」や「か」を言っているときの口の中を鏡で覗いてみてください。舌はいつもより奥のほうに下がっていて、発音し終わるともとの位置に戻ります。
側音化構音は、左右どちらかにずれていることで歪みが生じます。なので、奥・真ん中で言うことができれば改善は目の前です。
たとえば、奥・真ん中を意識しながら「くぃっ」と言いながら、だんだん「き」に近づけていきます。
すでに言えている他のカ行ガ行の音に近づけていく方法で修正すると、分かりやすいと思います。また、鏡を見ながら下顎や口元が真っ直ぐな動きをしているかどうか、必ずチェックしてください。
「き」「ぎ」の歪みは響きやすく目立ちやすいので、気にされる方が多いです。ただ、音の出る仕組みは単純なので、「き」「ぎ」のみであれば、自力でなおせることも多いようです。
一般的には、40分から60分程度のマンツーマンのレッスン(リハビリや訓練と呼ぶところもあります)を対面で、座って、言語聴覚士と2人で行います。
「1週間に1回続けて、おおよそ1~2年程度かかる」と言われることもありますが、ことばの相談室ことりでは、1〜3回ほどのレッスンでほとんど改善されていかれます。あとは自主トレで取り組んでみます、となり経過観察になる方もたくさん居ます。
練習方法さえ分かればあとは自力で、とするのもよいと思います。
普段は無意識に話している口や舌の動きを意識しようとすると、意外と難しいもので、はじめは苦労される方が多いです。
また、練習したことを普段の話し方に定着させるのに時間がかかります。
音ひとつや単語、音読などでは言えるようになったのだけれど、日常会話では気をつけられない…という方も多いです。一度、言語聴覚士にご相談されることをおすすめします。
側音化構音は、特に原因がみつからない”機能性”の構音障害のうち、「特殊な構音操作の誤り」に分類される音の誤りのひとつです。発音をするときの舌の動き(運動)が、側音化構音を持たない人の舌の動きと異なっていることに音の歪みの原因があります。
お子さんの場合には、就学前は療育・発達センター、子どもの治療を行っている病院などに相談窓口があります。就学後は、公立小学校の数校に1つなどの範囲で設置されている「きこえとことばの教室(通級指導教室)」にて指導を受けることができます。
けれども中学生以上〜大人の方が相談できる施設は現状とても少なく、悩みをかかえながら生活されている方がとてもたくさんいらっしゃいます。
社会では「側音化構音」はまだあまり知られておらず、周囲の理解が得られないことも多くあります。
ことばの相談室ことりでは、大人の方の側音化構音のご相談をお受けしています。何か気になることがあれば、ぜひご相談ください。
―おしらせ―
熊本県熊本市中央区に、ことばの相談室ことりの2号店となる、
「ことばの相談室ことり くまもと桜町」が開室しました。
■ 所在地
熊本県熊本市中央区桜町1−28
桜町センタービル 406号室
※複合施設サクラマチクマモトからすぐ近くです。