COLUMN

コラム

Q

熊本でことばの相談や言語聴覚士によるレッスンを受けるには?どんな流れで相談は進むの?

くまもと桜町
2026.01.31 更新

熊本県熊本市に、言語聴覚士がマンツーマンでことばの相談をお受けする、ことばの相談室ことり くまもと桜町が開室しました。
熊本のことばの相談室ことりは、東京都の本室に次ぎ、2か所目の開室です。

この記事では、熊本市中央区桜町にある、ことばの相談室ことり くまもと桜町についてご紹介します。

熊本でことばの相談先が見つからないのはなぜ?

熊本市では、子どものことばのお悩みについて相談したくても、言語聴覚士(ST)が在籍する施設や、気軽に相談できる場所が限られているという現状があります。

言語聴覚士は国家資格で、「療育」の分野、小児や発達障害の領域での言語訓練・レッスン、読み書き学習支援(発達性ディスレクシア)の領域、滑舌や発音(構音障害)の領域、吃音(きつおん、どもりのこと)の相談や支援、サポートを専門とする国家資格です。
言語聴覚士は病院のリハビリテーション科や発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなどの療育機関に所属していますが、熊本市では小児のことばを専門とする言語聴覚士の数は少なく、受け皿が足りているとは言えない状況です。

そこで、言語聴覚士がマンツーマンでことばの相談・レッスンを提供することばの相談室ことり くまもと桜町を立ち上げました。

これまでに、ことばの相談室ことり くまもと桜町にご来室いただいた相談の一例を紹介します。

2歳でまだお話しが出ないときはどうする?

2歳を過ぎた男の子。「ママ」や「ワンワン」のように数語はお話ししますが、文章でのお話しがまだありません。
周りの同じ月齢のお子さんは会話が成り立つほどにたくさんお話しできている状況に親御さんが焦りを感じ、県外からご相談に来室されました。

初回相談では、遊びを通したコミュニケーションや発達面の観察、保護者の方からの聞き取り、さらには言語検査(S-S法言語発達遅滞検査)を使用してことばの発達の状況を明らかにしていきました。
来室時は緊張していたこともあり、普段の様子も確認するために動画を見せていただきました。

動画では身振りサインとしてボールをなげるまねをしたり、お父さんの「投げて」「入れて」といったことば掛けに応じて遊ぶ様子を拝見し、発語(言語表出)はゆっくりかもしれませんが、発語につながるノン・バーバル(非言語)の理解・表出の側面の発達が確認できました。

「遊びの場面で動作語でのことば掛けを特におこなってください」のような、ご家庭での関わり方を詳しくお伝えし、2か月間、家庭で実践いただきました。
2か月後に再来室いただいたときには、帽子をかぶりたいときに、「かぶる」と言うなど、ことばで伝えられることが増えたとのこと。
お父様お母様からは、「とても不安でいっぱいでしたが、いまの我が子の現状を客観的に整理し、すべきことが分かってよかったです」と感想をいただきました。

ことばの発達の相談では、「3歳になり、知っていることばや使えることばのバリエーションが少なく、やり取りが続かない」「4歳で、お友達とのコミュニケーションが成立しづらく、けんかになるなどトラブルも多い」「5歳で、発音の不明瞭さがあり聞き返されることが多い」なども、多くいただくご相談です。

小学生の吃音の相談はどこですればいい?

ことばの相談室ことり くまもと桜町では、吃音といって、ことばを話すときに詰まったり音を繰り返すことばのお悩みの相談をいただくこともあります。
小学校6年生になる女の子の一例をご紹介します。3〜4歳の頃から、ことばのはじめの音を繰り返す吃音がありましたが、現れたり軽くなったりの波があり、これまでにはことばの相談には至っていなかったとのこと。

6年生になり、授業での発表の機会が増えてことばに詰まるようになったこと、友達とのコミュニケーションでも困ることが増え、ご来室されました。

初回のご相談では「吃音検査法」を実施し吃音の重症度を明らかにすること、学校などのどのような場面・状況で困ることがあるのか教えてもらうことから始めました。
また、吃音が出たときに自分自身でどのように対処しているか、吃音についてどのようにとらえているか、などの込み入った話も詳しく聞くことができ、たくさんのヒントが得られました。

吃音に対する取り組みにはいろいろありますが、お子さんご本人から「吃音を楽にする方法を知りたい」という希望があり、吃音が出にくくなる話し方の実践である「流暢性形成法」を導入することにしました。
初回は時間が限られていたため、苦手感の強い音読を中心に練習しました。短時間でしたが、とても上手にコツをつかんでいかれ、言いにくい苦手な音であっても短いことばであれば、吃音が出ることなくスムーズに読むことができました。
練習した内容が定着することを目指し、ご家庭での練習メニューをお渡しし、取り組んでもらうことにしました。

ご本人からは、「吃音について初めて知ることが多かった。吃音が出にくい話し方を知ることができよかった」と感想をいただきました。

大人の吃音もトレーニングできる?

吃音の相談を、大人の方からいただくこともあります。

30代男性、社会人になり、会社名が言いにくいため、トレーニングを受けたいというご相談でした。

たいていの会話では、吃音でどもりそうなことばを別のことばに言い換えることでどもらず言えるので困らないけれども、固有名詞である社名は言い換えが利かずに特にお困りであるとのお話しでした。

そこで、吃音の出にくい腹式呼吸や、力を抜いてゆったりと会社名を音読する練習からはじめました。
それから、実際の挨拶や電話の場面を想定し、練習した話し方を使って話すレッスンに取り組みました。

レッスンを受け、「話し方のコツを知ることができた。今思えば、他の場面でも言いにくさを感じることが多かったので、さっそく実践していきたい」と前向きなコメントをいただくことができました。

「サ行」や「カ行」が上手く言えない時は?

ことばの相談室ことり くまもと桜町に多いご相談には、サ行やカ行が言えないといった発音(構音障害)の相談があります。

6歳、保育園の年長の男の子、「さしすせそ」が言えない、語彙が少ないように感じるというご相談で保護者の方からご相談をいただきました。

初回には、言語聴覚士と「新版構音検査」という検査をおこない、日本語に含まれる音について<言える>・<言えない>を整理していきました。
検査では、音ひとつ(単音)、単語、文章の復唱を確かめていきます。
検査の結果、音ひとつ(単音)では、「さしすせそ」「しゃしゅしょ」「ざずぜぞ」「じゃじゅじょ」「つ」が言えないことが分かりました。
そのお子さんの発音の一例を挙げると、「さ」のことを「ちゃ」と言い、「あさ」を「あちゃ」、「ずぼん」を「じゅぼん」と言っていました。
それから、「かきくけこ」「がぎぐげご」は、音ひとつずつでは言えるのですが、ことばのなかに含まれると、「あかい」が「あたい」、「ここにあるよ」が「ととにあるよ」のように言えないことが分かりました。
6歳という年齢は、これらの音(サ行、カ行など)は言えるようになってよい年齢で、練習を検討していくべきとされています。

そこで、語彙の少なさなど全体的なことばの発達についても気になるけれども、発音の不明瞭さが晴れてくると、やり取りが円滑になり、お子さん本人のコミュニケーションに大きくよい影響を及ぼそうであること、それから発音練習もがんばって取り組んでくれそうであることから、保護者の方と相談し、まずは、発音練習を優先する方針を決定しました。

練習は、サ行とカ行のうち、順番としてはより低年齢で獲得し、言えかけであるカ行の練習からはじめました。
練習は、音ひとつだけでの繰り返しから、徐々に短い単語、フレーズや文などに進んでいきました。
サ行の音は繊細な響きの音作りが必要であることから、少し苦戦しました。そこで、ストローの穴のなかに息を通す練習をおこない、息の出し方をつかんでもらいました。

週に1回か隔週に1回、45分のレッスンを実施し、5か月間かけ、すべての音が綺麗に言えるようになりました。
発音が明瞭になったことで、お正月に久しぶりに会ったおじいちゃん、おばあちゃんにも聞き返されることなく楽しく会話をできており、親御さんはお子さんの成長を実感でき嬉しかったとのことでした。

今後は、発音練習を優先していて充分に取り組めていなかった言語面の指導をすすめていく予定です。
保育園でよくある活動を想定し、ことばで説明する課題を実践し、語彙表現を広げたり、ひらがな読み書きに繋がる音韻面の力をつけていったりする内容を計画しています。

ことばに関する不安は、一人で悩まずにぜひ一度、ことばの相談室ことり くまもと桜町へお聞かせください。
お子さんのペースに合わせた最適なサポートを、一緒に考えていきましょう。


―おしらせ―

熊本県熊本市中央区に、ことばの相談室ことりの2号店となる、 「ことばの相談室ことり くまもと桜町」が開室しました。

■ 所在地 熊本県熊本市中央区桜町1−28 桜町センタービル 406号室
※複合施設サクラマチクマモトからすぐ近くです