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お子さんの吃音(どもり)、「様子見」と「治療開始」のタイミングは?

吃音
2025.10.20 更新

3歳前後の時期に、「ぼぼぼぼ、ぼくね」や「マ―ァマ、あーあのねっ!」のように、お子さんがことばに詰まったり音を引き伸ばしながら話すようになることがあります。これまではそんなことはなかったのに、急にお子さんのようすが変わるとびっくりしますよね。

ことばのはじめの音を繰り返したりつっかえたり、引き伸ばしたりする状態のことを「吃音(きつおん)」と呼びます。
お子さんに吃音の症状が出たら、「すぐに相談へ行くべき?」「自然に治るって聞くけど、いつまで様子を見ていいの?」と悩むことがあるかもしれません。

このコラムでは、現在国内で公開されている「小児吃音臨床ガイドライン」を参照しながら、吃音が始まってまもないお子さんへの対応について、わかりやすく解説します。

3歳時期の吃音は7割が自然治癒する

吃音は、人口の約1%ほどにみられます。ところが、幼児期に吃音の状態になるお子さんは幼児全体の5~8%ほどいます。つまり、吃音がはじまったお子さんのうち、70~80%が自然に消えていくということです。
7割が自然治癒するとはいえ、吃音の原因やメカニズムについてはまだよく分かっていないことも多く、目の前のお子さんの吃音が、消えていく吃音なのかそうではないのかを見極める確定的な方法はまだありません。
そのため、吃音がはじまったすべてのお子さんに適切な対応を行っていくことが大切であると言われています。

幼児吃音臨床ガイドラインでは、発吃(吃音の症状が出ること)から半年~1年以内に専門家に相談できることが望ましいと言われています。しかし、日本国内では言語聴覚士など吃音の専門家が不足しているという現状があります。

様子見でいい?それとも受診すべき?:吃音の相談のめやす

もし、お子さんに「吃音かな?」と感じられるようすがあれば、専門家へのご相談をおすすめします。
相談機関につながっておくことで、お子さんに必要なサポートを始めるタイミングを計ることができます。

治療を始めるタイミングはいつがベスト?:介入開始のめやす

積極的な介入(月に2回以上の定期的な指導)を開始するタイミングについて、ガイドラインではお子さんの小学校入学までの期間を参考に決定するよう推奨しています。

積極的な介入の開始時期

幼稚園・保育園の学年 相談・介入のめやす
3歳児クラス(年少クラス) 経過観察的な支援を行うことを基本とする
4歳児クラス(年中クラス) 積極的な介入の開始を検討する
5歳児クラス(年長クラス) 積極的な介入の開始を推奨する

治療期間の目安

積極的な介入をしてから、1~2年程度の期間が必要となることが多いです。

  • 年中クラス(4~5歳)であり、
  • 吃音がはじまって1年であること

をめやすに積極的な介入を検討します。

 上記にあてはまらないケース

お子さんの状況に応じて、介入時期を早めることやしばらく経過観察を続けることがあります。

介入を早めるケース

  • 予後不良を推測させる条件が多い
    例:吃音の程度が中等度以上、経過観察中の改善があまりみられない、発達障害など併存するほかの障害がある など
  • 吃音の介入を優先して行う必要がある

しばらく経過観察を続けるケース

  • 予後良好を推測させる条件が多い
    例:吃音のほかには発達面で気がかりがない
  • 吃音自体が軽度である

早期に適切なサポートをはじめることで、より良い方向へ歩みを進めていくことができます。

吃音の相談先をお探しの場合は、ぜひことばの相談室ことりに相談ください。精一杯お手伝いさせていただきます。

引用・参考文献

 

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