「文字は読めるけれど、意味がわかっていないみたい」という悩みは、多くのお子さんに見られるものです。よく質問されるのですが、「文字が読める」ことと、「意味を理解し、文脈を捉える(読解)」ことは、別のことです。
このコラムでは、読解力を身に着けるための「3つの力」と、それを乗り越えるために必要なトレーニングについて解説します。

なぜ、文字が読めるのに内容が頭に入ってこないのでしょうか。
そこには、単なる「音読のやり込み」だけでは解決できない3つの壁が存在します。
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内容 |
必要なトレーニング |
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語彙の質 |
単語の意味を知っていても、その「ニュアンス」や「使われ方」がわからない |
語彙の精緻化 |
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推論力 |
書かれていない「行間」を埋める脳内シミュレーションが難しい |
クリティカル・リーディング(なぜ筆者はこう書いたか?) |
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スキーマ |
そもそもそのトピックに関する「知識の引き出し」が少ない |
周辺知識のインプット |
「ことばを知っている」状態には段階があります。名前を知っているだけでなく、似た意味のことばとの違い(類語比較)や、反対のことば(対義語)をセットで学ぶことで、ことばの使い分けができるようになります。
文章には、すべてが書かれているわけではありません。前後の文脈から「なぜこの人はこう言ったのか?」を想像する力が必要です。自分に問いかけながら読む練習が鍵となります。
スキーマとは、頭の中にある「知識の貯金箱」のようなものです。例えば、野球のルールを知らなければ、野球の解説文を読んでも理解できません。多読をする前に、一つのテーマを深く掘り下げて「知っていること」を増やすアプローチが重要なのです。
なぜ文章の多読や文章の要約の前に、別の取り組みが必要なのでしょうか?
それは、基礎となる「思考の型」ができていない状態で要約をさせると、お子さんにとって大きな負担になってしまうからです。
読解力は「思考」そのものです。ことばの相談室ことりでは、まず論理の接着剤である「しかし」「つまり」などの接続詞を正しく評価し、文字を映像として捉える力を養うプログラムを大切にしています。
「しかし」「つまり」「ゆえに」といった接続詞が、文章の方向をどう変えるのかをパズルとして捉える練習を行います。
文字を読んだ瞬間に、脳内で映像や図解に変換するプロセスです。物語の一場面を読んで、「どんな場所?」「登場人物はどんな顔をしてる?」と聞き、簡単な絵や図にして文字を情報の構造として捉えます。
例えば、雪国を舞台にした話を、雪を見たことがない子が理解するのは困難です。動画や写真を使って「概念のイメージ」を先に植え付ける必要があります。また、物語特有の表現や登場人物の感情の変化を表すことばなどのことばにも注目をします。

「もっと読みなさい」と伝えるだけでは、お子さんは読み書きが嫌いになってしまうかもしれません。大切なのは、どこでつまずいているのかを正しく把握することです。
ことばの相談室ことりでは、言語聴覚士がお子さんの特性に合わせたアプローチを提案します。
お子さんの「読めた!」「わかった!」という笑顔を、ことばの相談室ことりと一緒に増やしていきましょう。
お子さんの学習やことばの発達について、不安なことがあればいつでもご相談ください。