お子さんは1歳半~2歳の間に、市町村の1歳半健診を受けます。「どんなことをするのだろう」と不安に思う保護者のかたも多いでしょう。「順調に健康に育っているだろうか」と心配になることもあるかもしれませんね。
そして特に気になるのは、ことばの発達ではないでしょうか。「うちの子、まだしゃべらないけど大丈夫かな?」「周りの子はたくさんおしゃべりしているのに…」など、他の子と比べてしまうこともあるかもしれません。このコラムでは、1歳半健診でどんなことをするのか、そしてもし『要観察』『様子見』と言われた場合にどうすればいいのかについて、言語聴覚士の視点からお話しします。

1歳半健診は、お子さんの心身の発達や健康状態を確認するための大切な機会です。市町村によって多少内容は異なりますが、主に以下の項目をチェックします。
身体測定:身長・体重・頭囲などを測り、発育状態を確認します。
小児科診察:全身の健康状態をチェックします。
歯科検診:歯の生え方や虫歯がないかなどを確認します。
心理・発達チェック:発達の状況を遊びや簡単な質問を通して確認します。
特に心理・発達チェックでは、お子さんのことばの発達、社会性、運動能力などを総合的に見ます。
ことばの発達については、以下のような点をチェックします。
健診では、お子さんの様子や保護者の方への問診を通じて、お子さんのことばの発達状況を確認します。この時、「ことばが遅いかも?」と不安に感じても、健診の結果だけで一喜一憂する必要はありません。お子さん一人ひとりの発達には、個性があるからです。
健診にはさらに、保護者のサポートをするという目的もあります。医師や保健師など専門家に心配事や悩みなどを相談できる場でもあるのです。
「家庭のこんな様子が気になる」「ことばの発達がゆっくりに思えるが、このまま様子をみていてもいい?」などと気になることがあれば、おひとりで悩まずに積極的に相談をしてみましょう。
1歳半健診で「より詳しく診査した方がよい」と判断された場合、「精密健康診査」と呼ばれる再診査の案内がおこなわれます。再診査では、医療機関や児童相談所などにおいて、専門医や児童心理士などによる精密検査がおこなわれます。
この時、「何か問題があるのでは?」と不安になる保護者の方は少なくありません。しかし、再診査の案内があったからといって、必ずしも疾患が疑われているわけではありません。
いつもと違う環境での緊張:お子さまは普段できていても、慣れない場所や大人を前に緊張してしまい、いつもの様子を見せられないことがよくあります。
発達の個人差:ことばの発達には個人差が大きく、一般的に言われる時期よりも少し遅れて現れることは珍しくありません。
したがって、再診査の案内があってもこの段階で不安になりすぎず、気になっていることをメモしておき、再診査の際に医師などに質問してみるとよいでしょう。再診査は、お子さんの成長についてより深く知るための大切なステップだと考えてください。
また、健診で「要観察」となる場合も、必要以上に心配することはありません。お子さんの成長を促すためのアドバイスや、専門機関への紹介を受け取る良い機会です。早期に適切な関わりを始めることは、お子さんの健やかな成長の助けとなります。
健診でことばの発達について「しばらく様子を見てみましょう」と言われることがあります。もちろん、そこからぐんと成長するお子さんもたくさんいらっしゃいます。しかし、保護者の方としては「このままで大丈夫なのかな?」と不安になってしまうことでしょう。
ご家庭でできることとして、以下のような工夫があります。
あそびや絵本を通じてやりとりを楽しむ:
ことばは、言う・言わせるといった方法ではなかなか増えません。まずは、お子さんの「やりとりってたのしい!」「伝えたい!」という気持ちをたくさん育んでいきましょう。
話しかけの工夫:
お子さんが興味を持ったものに「ワンワンだね」「ボール、コロコロだね」など、ことばを添えて話しかけてみましょう。詳しい声掛けの方法については、こちらのコラムもぜひ参考にしてみてください。
身振り手振りも大切に:
「バイバイ」や「パチパチ」など、身振りも大切なコミュニケーションの手段です。
しかし、「様子見」と言われた後、どうしたらいいか分からず、ただ時間だけが過ぎていくと感じることもあるかもしれません。
健診での様子見や、ご家庭での工夫を続けていても、以下のようなことが気になる場合は、一度専門家である言語聴覚士に相談することをおすすめします。
・1歳半を過ぎても、意味のある単語をほとんど話さない。
・「ちょうだい」「どうぞ」などの簡単な指示に従わない。
・名前を呼んでも振り返らないことが多い。
・大人の言っていることを理解しているか不安になる。
・人への興味が薄く、コミュニケーションが心配。
こうしたお子さんの様子を専門家の視点から見て、適切なアドバイスやサポートを提供するのが、私たち言語聴覚士の役割です。
当相談室は、まだことばが少ない1歳台のお子さまのご相談もお受けしております。お子さまの様子を丁寧にうかがい、保護者の方と一緒に、ことばを育む土台を築いていくお手伝いをします。ご相談の流れは以下の通りです。
お子さんのことばの発達状況や、得意なこと・苦手なことを、遊びや保護者の方のお話を通じて丁寧に観察します。ことばだけではなく、遊び方や人との関わり方も含めて、総合的にお子さんのことを知ることから始めます。
1歳台のお子さまのご相談の例
ご予約のお申し込み:まずは予約サイトよりお申込みください。
インテークフォームへのご記入:お子さまのこれまでのご様子や、気になる点などをフォームにご記入いただきます。
質問紙式の検査:メールでのやりとりで、質問紙式の言語検査や発達検査にご協力いただきます。
結果の集計とご相談:ご記入いただいた内容を事前に集計し、当日の面談で詳しいお話をうかがいます。
お子さまへの直接的な関わりは、当日のコンディションを見ながら進めていきます。遊びを通して、お子さまの関心やコミュニケーションの様子を観察し、ご家庭での関わり方のヒントをお伝えします。
アセスメントの結果をもとに、お子さん一人ひとりに合わせた、オーダーメイドのサポートプログラムを作成します。ことばの「土台」となる遊びやコミュニケーションの力を育むことを大切にしています。
ことばの発達は、日々の生活の中で育まれていきます。そのため、保護者の方がご家庭でできる関わり方や、環境づくりのヒントを具体的にアドバイスします。 「この遊びの時に、こんな声かけをしてみましょう」 「お子さんのことばにこう返してあげると、次のことばにつながりやすいですよ」 といった、すぐに実践できるような内容をお伝えします。
お子さんのことばについて、少しでも不安を感じたら、それはきっとことばの相談を考えるタイミングです。健診で心配なことがあったとしても、一人で悩みを抱え込まず、私たち専門家と一緒に考えていくことができます。
ことばの発達は、お子さんの世界を広げる大切な力です。ことばの相談室ことりは、お子さんの「話したい」「伝えたい」という気持ちを育むお手伝いをしていきます。いつでもお気軽にご連絡ください。