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5歳の息子、「かきくけこ」が言えず、全部「たちつてと」になります。このまま様子を見てもいいのでしょうか?

発音・大人の発音矯正
2026.02.03 更新

5歳前後で「かきくけこ」が言えず、「からす」が「たらす」、「たいこ」が「たいと」になってしまうお子さんのご相談をいただくことがよくあります。

小学校入学も見えてくるころですし、周囲のお友達からも指摘されたり聞き返されたりが増えて来る頃かもしれません。そのうち言えるようになるから様子を見て大丈夫、と周囲から言われることもあるかもしれませんが、実は5歳という年齢では「カ行」「ガ行」の練習を開始できることがほとんどです。

この記事では、カ行の発音の特徴と獲得時期のめやす、家庭での対応とチェック、発音レッスンでの練習の内容などを解説します。

なぜ「カ行」が「タ行」になるの?

カ行とタ行は、実は舌の動かし方が違います。

< 舌の動かし方 >
カ行・・・ 舌の「奥」を持ち上げて、上あごの奥のほう(軟口蓋)に当てる。
タ行・・・ 舌の「先」を持ち上げて、上の歯の付け根(歯茎)に当てる。

このように、カ行は奥の方、タ行は前の方を使って音を出します。音を出すために使う舌の場所が全然違うんですね。

お話しはじめの1歳から5歳頃までは、まだまだ発音自体が未完成なので、「かきくけこ」が「たちつてと」に置き変わって話しているお子さんがたくさんいます。おおよそ、早い子では2歳頃から、半数以上の子は3歳から4歳のあいだに「かきくけこ」「がぎぐげご」の音を出せるようになっていきます。

もちろん、2歳や3歳の時期には、音としては言える、音1音ずつであれば言えるけれど長いことばをスラスラと言えるかというとそれは別です。「く」が単体(音ひとつ)で言えるお子さんでも、ことばのなかでは「ちゅくちた」や「つつちた」のような言い間違いがしょっちゅうあります。小さなお子さんのたどたどしいお話し方はかわいいですね。

「かきくけこ」「がぎぐげご」が言えない場合、いつまで様子見でOK?今後の見通しとチェックポイント

調査により、カ行の完成の目安は4歳〜5歳頃であることがわかっています。これは、9割のお子さんが言えるようになる年齢です。国家資格である言語聴覚士(げんごちょうかくし)の見解では、4歳を過ぎた頃(4歳台後半以降)からカ行を出すための練習が開始できると言われています。

5歳であれば、1~2割程度、言えない子もいる年齢ですので、今すぐ「異常だ」と決めつける必要はありません。まずは、以下の点を確認することからはじめてください。

耳は聞こえているか

 小さな音や、後ろからの呼びかけに反応していますか?中耳炎などを繰り返している場合には、まずはその治療が優先です。難聴が見つかった場合には、まず補聴などの対応が適切にとられたのちに、言語聴覚士による発音レッスンを受けることが望ましいです。

口の中や舌の形状に以上は無いか

まれに口唇口蓋裂、粘膜下口蓋裂、舌小帯短縮症などがみつかることがあります。口腔内に異常がみつかった場合には、まずその治療を優先し、その後、言語聴覚士による発音レッスンを受けることが望ましいです。

カ行の出し方は?どのように出しているの?

カ行は、舌の後ろの方をグッと持ち上げて、上あごの奥(軟口蓋)につけて音を出します。口の奥のほうなので外からはよく見えませんが、タ行やダ行と比べてみると分かりやすいかもしれません。「た」を言うときと違って、「か」を言うときには、舌の前は下がったまま、舌全体が奥のほうに後退(後ろに下がる)ような動きをするのが、「か」を言えている人の舌の動きです。

「かきくけこ」が言えないお子さんのなかには、「舌の奥を使う」という感覚自体がつかみにくいのです。

■ よくある言いまちがい

  • 「か」→「た」 (からす → たらす)
  • 「き」→「ち」 (きりん → ちりん)
  • 「が」→「だ」 (がようし → だようし)
  • 「ご」→「ど」(ごみばこ→どみばと)

これは、舌の奥が使えない代わりに、「舌の先」を使って音を出してしまっている状態です。

 お家で遊びながらためせる「かきくけこ」の出し方

無理に「『か』って言って!」と練習させるのではなく、「舌の奥を使う感覚」を遊びで養うのが近道です。

うがい遊び

ガラガラうがいは、カ行で使う場所と同じ筋肉を使います。お風呂などで「ガラガラ〜」と遊ぶのは非常に効果的です。

くちを開けたまま「んー」

口を「あ」の声が出る大きさで開けたまま「んー」を言うと、舌の奥の方が上がって口の天井(軟口蓋)に付きます。舌の前が上がるのではなく、奥の方が上がっていることを確かめるとよいです。
口のなかは暗くてよく見えにくいので、ペンライトやスマホのライトを使って口のなかを確認してみるのもおすすめです。

普段の会話での接し方のポイント

一番大切なのは、「話す楽しさ」を損なわないことです。「『たらす』じゃなくて『からす』でしょ、言ってごらん?」と何度も直すと、お子さんが話すのを嫌がってしまうことがあります。

そうではなくて、正しい音を「聞かせて」あげることを重視しましょう。
たとえば、お子さんが「あ、たらす(からす)だ!」と言ったら、「そうだね、からすだね!」と、正しい発音をしっかりと耳に聞かせてあげることを日頃意識しましょう。お子さんが話すこと自体に苦手意識を持ってしまわないよう、過度な言い直しは控えましょう。

専門家に相談する目安は?

一般的に、カ行は4歳〜5歳くらいまでに自然と言えるようになる子が多いです。

もし「年中〜年長さんになっても全く言える気配がない」、あるいは「お友達に指摘されて本人が気にしている」という場合は、言語聴覚士(ST)のいる施設に相談してみてください。言語聴覚士は、お子さんが「どこの場所を使って音を出しているか」を詳しく評価し、その子に合ったプログラムを提案します。

専門家のアドバイスをもらうと、親御さんの気持ちもグッと楽になりますよ。

ことばの相談室ことりでは、経験豊富な言語聴覚士が発音レッスンを提供

ことばの相談室ことりでは、発音の苦手(構音障害)の発音指導の経験が豊富な言語聴覚士陣がお子さんから大人の方までレッスンを提供しています。初回相談からすぐに練習を開始し、家庭で練習を続ける方法についてもお伝えいたします。教材データもお渡しいたします。ぜひ一度、ご相談ください。