とても珍しい発音の誤りですが、「からす」が「っあらす」に聞こえたり、「くるま」が「っうるま」に聞こえたりするような話し方をするお子さんや大人の方がいらっしゃいます。まるで、息を一度止めてから出すような、あるいは、咳ばらいをしながら話しているような、独特な発音に聞こえるかもしれません。声が小さく、自信が無いのかな?チックや吃音(きつおん・どもりのこと)なのかな?と心配される親御さんもいらっしゃるようです。調べても情報があまり出てこないため、どこに相談すればよいのか分かりづらいという声もよく聞きます。
実は、言語聴覚士によるレッスンで多くの場合改善が可能です。今回の記事では、「かきくけこ」が「っあ!」のような呑み込むような話し方になる「声門破裂音(せいもんはれつおん)」について解説します。

「か」を「っあ!」とお話しされる現象を、「声門破裂音(せいもんはれつおん)」と言います。非常に稀な現象ですが、構音障害(こうおんしょうがい)のひとつです。
なぜ「っあ!」という音になってしまうのでしょうか?
その理由は、「かきくけこ」を発するときの舌のただしい位置を使う代わりに、喉の奥にある「声帯」をギュッと閉じて音を出してしまっているからなのです。
本来、カ行の音は「舌の根元を持ち上げて、口の天井(軟口蓋)にピタッと当てる」ことで作られます。しかし、声門破裂音(せいもんはれつおん)のクセをお持ちの方(お子さん)は、無意識のうちに喉に力を入れて、喉を「閉じる・開く」という動きで音の区切りを作ろうとします。
喉をぎゅっと締めるのは無意識の話し方なので、ただ「カと言いなさい」と繰り返しても、お子さんは「喉を閉じる力」をさらに強めてしまい、修正が難しいのです。
声門破裂音は口蓋裂・粘膜下口蓋裂といって、口の中の形状に先天的に異常のあるお子さん、難聴のあるお子さんに多いですが、まれに特に器質的にはなにも異常がみつからないお子さんにも起こることがあります。
この声門破裂音のクセがある場合、単語の頭だけではなく、言葉全体が「詰まったようなリズム」になります。保護者の方が「チックや吃音かと思った」「少し力んでいるように見える」と感じるのも、実際に喉の周りに強い力が入っているためです。
例えば、以下のような聞こえ方になることが一般的です。
カ行の音が喉を閉じる音に置き換わるため、不明瞭になってしまい、聞き手にとっては「何て言ったのかな?」と聞き返しが必要になる場面も増えてしまいます。

よくある発音の悩みで「からす」を「たらす」と言うケース(タ行への置換)があります。これは「舌の奥」を使うべきカ行・ガ行の音に「舌の先」を使ってしまっている状態です。「舌の使いどころを間違えているだけ」なので、成長とともに自然に治るか、練習が必要になったとしても簡単なレッスンにて修正されることも多いのです。
しかし、声門破裂音の場合には、自然に治ることがかなり困難であると言われており、子どもの頃の発音の誤りは大人になっても持続することが非常に多くあります。そのため、適切な時期に言語聴覚士によるレッスンにて正しい舌の使い方を学習するプログラムに取り組むことが、お子さんの発音獲得に必要となります。
いきなり「カ」の音を練習する前に、まずは「喉の力を抜く」ことから始めてみましょう。喉がリラックスしていないと、舌の奥をスムーズに動かすことが難しいからです。
まずは、リラックスの遊びとして「ため息」を試してみてください。「はぁ〜〜」と大きく、長く息を吐き出す練習です。喉がリラックスして開いている感覚を親子で楽しみながら共有します。
また、「かきくけこ」のうち「こ」だけは言えている、「かきくけこ」は言えないけれど「がぎぐげご」は言えているなどであれば、言えている音と同じ場所だよと伝えてみる方法も有効です。舌の奥を意識させるために「怪獣ごっこ」などで「ガオー!」と、言えている音で舌の奥を意識してみるとよいでしょう。
発音のクセは、一度定着すると自分自身ではなかなか気づくことができません。もしお子さんが4歳を過ぎていても全てのカ行が「っあ!」と詰まってしまう場合は、ことばの相談室ことりへお気軽にご相談ください。
ことばの相談室ことりでは、言語学や音声学、発声発語器官の解剖学、行動療法の基礎を履修した国家資格である言語聴覚士が滑舌・発音のレッスンにあたります。
お子さんの現在の状態を適切に評価し、一人ひとりの発達のペースに合わせたプログラムを提案します。お家で一人で悩むよりも、専門的な視点を取り入れることで、驚くほどスムーズに解決することが多いですよ。