お子さんのことばの発達が気になると、日頃どのように遊んだらよいのか迷いますよね。おうちでの遊びを通して、無理なくことばを引き出せたら嬉しいものです。
このコラムでは、言語聴覚士の視点から、おうちでお子さんのことばを育むおもちゃの遊び方のコツをお伝えします。

おもちゃで遊ぶとき、無理に「これ言ってごらん」と言わせる必要はありません。遊びの中でコミュニケーションの土台を作ることが大切です。
ことばを促すために意識したいポイントは2つあります。
①共同注意
②ターンテーキング
共同注意とは、お子さんと大人が同じものを一緒に見ることです。ターンテーキングとは、順番交代をすることです。この2つを意識することで、おはなしの基礎となるやりとりの練習になります。
なぜ「これ言ってごらん」とことばを言わせる関わりはしない方がよいのでしょうか。
「これはブドウだよ。言ってごらん、ぶ・ど・う」と何度もクイズのような声掛けでは、おもちゃの楽しさが減ってしまいます。これでは学習のようになってしまい、お子さんがつまらなくなってしまうからです。
また、コミュニケーションはお互いにやり取りをする相互のものです。大人が言わせようとしすぎると、お子さんは受け身になってしまいます。
大切なのは、お子さんが「伝えたい!」と思って自分から声を出す自発的な発信を促すことです。
「りんごが切れた!」「バナナだね。今日の朝たべたね」など、お子さんの今の遊びの状況や経験と結びつけながら、生活の中でことばをかけてみてください。遊びを一緒にたのしみながら、様々なことばと出会うきっかけとなります。

特別なものを用意する必要はありません。おうちにある身近なおもちゃを使って、やりとりの工夫をしてみましょう。
ボールを転がすようなおもちゃでは、渡し方に一工夫を入れます。
・ボールの手渡し(大人からボールを受け取ってから、こどもが穴に落とす)
・手渡す前に大人の顔の近くでボールを見せる
大人がボールを渡す役割になることで、順番交代(ターンテーキング)の練習になります。
また、ボールを大人の顔の近くに持ち、お子さんと目が合った瞬間にサッと渡してみましょう。興味のあるおもちゃの先にある、遊んでいる相手にも注目が向き、「一緒に遊んで楽しい」「なんとお話しているのかな?」などの次の興味につながりやすくなります。
同じものを一緒にみた瞬間に動かすことで、共同注意の機会が生まれます。少し大人の手伝いが必要なおもちゃを選ぶことも、やりとりを増やすアプローチとしておすすめです。
お子さんが一人で黙々と遊ぶのではなく、大人がさりげなく遊びに加わります。
・役割分担(野菜を渡す人、切る人など)
・選択肢の提示(「どっちを買う?」「りんごとバナナとぶどう、どれにする?」など)
大人がカゴを持って「どれにする?」と選んでもらったり、「はい、どうぞ」と具材を渡したりします。一緒に同じものに注目する共同注意や、役割の交代が続くターンテイキングを遊びの中にたくさん作ることがポイントです。
お子さんがことばをおはなしする前段階では、人とやりとりをする楽しさを知ることが大切です。
ことばを使ってやりとりをすることを1番の目標にするのではなく、まずは一緒に遊んで楽しいといった気持ちを共有することを意識してみてください。
遊びの中で同じものを一緒にみる共同注意や、順番交代をするターンテーキングは、どちらも楽しいやりとりから生まれます。「大好きな人と一緒にみられた」「順番にできて楽しい」という経験の積み重ねこそが、コミュニケーションの土台になります。
この2つのやりとりを無理なく重ねることで、お子さんは人と関わる喜びを知り、自発的なことばの発信へとつながっていきます。
ことばの相談室ことりでは、お子さんの発達の見立てや丁寧な評価を行い、一人ひとりに合わせたプログラムをご提案しています。日頃の遊び方やことばの発達・ことばの育ちについて気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
■ YouTubeチャンネル
子どもの言葉を引き出すおもちゃの遊び方には、コツがあります!
こちらも併せてご覧ください。