「うちの子、ことばがゆっくりで、発音もはっきりしないけど、これからどうしたらいいんだろう…」 「年長でST(言語聴覚療法)が終わっちゃうけど、おうちでできることってあるのかな?」
ダウン症のお子さんのことばの発達について、このようなお悩みや疑問をお持ちの保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、ダウン症のお子さんは、ゆっくりとしたペースでことばを習得されたり、発音に不明瞭さが残ったりすることがあります。でも、療育やリハビリが終わった後も、ご家庭での日々の関わりを通して、お子さんの「話したい」「伝えたい」気持ちを育み、ことばの発達をサポートしていくことができます。
このページでは、日常生活の中で親子で楽しく取り組めることばのサポート方法をご紹介します。
ダウン症のお子さんのことばの発達、おうちでできるサポートとは?
まずは「聞く力」と「話す意欲」を育むことから
焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、以下のポイントを意識してみてください。
たくさんお話をし、会話のキャッチボールを楽しみましょう
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- お子さんが「わんわん、いた!」と話したら、「ほんとだね、大きいわんわんがいるね。どこから来たのかな?」など、少しことばを補ったり、質問を加えたりして、会話を広げてみましょう。これを「拡大模倣」や「拡張模倣」といって、自然な形で新しいことばや表現に触れる機会になります。
- 無理に正しいことばを強いるのではなく、お子さんの思いに耳を傾け、共感することが大切です。
ゆっくり、はっきり、優しい口調で
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- 早口になったり、強い口調になったりしないよう、落ち着いて話しかけましょう。
- お子さんがうまく言えないことばも、正しい発音でさりげなく繰り返し聞かせてあげることで、自然と正しい音に気づくきっかけになります。
「できた!」をたくさん褒めて、自信につなげましょう
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- 上手に言えた時、伝えようと頑張った時は、たくさん褒めてあげてください。「伝わった!」「話すって楽しい!」という気持ちが、次への意欲につながります。
ことばの世界を広げる遊びのアイデア
日常生活のあらゆる場面が、ことばを学ぶチャンスです。
絵本の読み聞かせ:
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- ただ読むだけでなく、絵を指差しながら「これは何かな?」と問いかけたり、お子さんにも「読んでみて」と促したりするのも良いでしょう。何度も繰り返し読むことで、ことばが定着しやすくなります。
文字遊び:ひらがな、カタカナへの興味を活かして
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- 好きなものの名前を書いたり、短いお手紙やカードを作ったりするのも、楽しみながらことばを育むことにつながります。
- 簡単な絵日記を一緒に書くのも、自分の経験をことばで表現する練習になります。
体を使った遊び:ことばと体験を結びつけよう
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- おにごっこをしながら「まてまてー!」「つかまえた!」など遊びながら、気づいたらお話している状況を作りましょう。
- かるた遊びやことば集めゲームも、楽しみながら聞き取りや発音の練習になります。
- お散歩中に見つけたもの、触ったものの名前を教えたり、感想を言い合ったりするのも効果的です。五感で感じたことと ことばを結びつけることで、より記憶に残りやすくなります。
お手伝い:生活の中でことばの理解と表現を深める
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- 「テーブルにお皿を3枚並べてね」「赤い積み木を箱に入れてくれる?」など、具体的にお願いすることで、ことばの指示を理解し、行動する練習になります。
- お手伝いが終わったら「ありがとう、助かったよ!」と感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。
就学後も続くサポート:学校や地域との連携
小学校に入学した後も、ことばの発達をサポートしていくことは可能です。
学校との連携:
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- 担任の先生や特別支援教育コーディネーターの先生に、お子さんのことばの様子や家庭での取り組みについて伝え、連携を取りましょう。
- 学校生活の中でどのような配慮や支援が可能か相談してみましょう。
地域のサポート:
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- お住まいの地域の療育センターや相談支援事業所など、専門機関に相談することもできます。
- ST(言語聴覚療法)が終了した後も、必要に応じて個別の相談や指導を受けられる場合があります。
ひとりで抱え込まず、専門家にも頼ってみませんか?
「これでいいのかな…」「もっと何かできることがあるんじゃないか…」 子育てには不安がつきものです。特にことばの発達に関しては、専門的な知識や関わり方のコツが必要な場合もあります。
ことばの相談室ことりでは、お子さん一人ひとりの発達のペースに合わせた個別のアドバイスや、ご家庭でできる具体的な遊びの提案などを行っています。ST終了後のことばのサポートについて、少しでも不安なことや知りたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お子さんの「伝えたい」気持ちを大切に、焦らず、楽しみながら、ことばの力を育んでいきましょう。