大切なお子様が文字を書くことに苦労し、悔しい思いをしている姿を見るのは、お父さんお母さんにとっても辛いですよね。
もしかしたら、「どうしてうちの子だけ…」と不安に感じているかもしれません。しかし文字を書くのが苦手なお子様は、決して少なくありません。ことばの相談室ことりが、お子様に合った「書き方」を見つけるお手伝いをします。焦らず、お子様のペースで「書くって楽しい!」を見つけていきましょう。

なぜ文字を書くのが難しいのか?
文字を「書く」という作業は、大人が思うよりも複雑です。
- 目で見て形を理解する
- その形を記憶する
- 記憶した形を指先で再現する
これらのことを同時に行う必要があるため、特に小さなお子様や、視覚的な認識、手先の細かな動きが少しゆっくりなお子様にとっては、とても難しい作業なのです。「うまく書けない」「覚えられない」という経験は、自信をなくしてしまう原因にもなりかねません。
お家でできる!「楽しい」から始める文字との付き合い方
まず一番大切なのは、「正しく書くこと」を目標にしすぎないこと。「ちょっとでもできた!」「文字の形に触れられた!」という小さな一歩を、お父さんお母さんが一緒に喜んであげることが、お子様の「やってみよう!」という気持ちを育てます。
書く前に、文字と「お友達」になろう!~触って・なぞって・遊んでみよう~
いきなり鉛筆を持って書く練習から始めるのではなく、まずは文字の形そのものに親しむことから始めてみましょう。
- 粘土や砂遊び: 指で文字の形を作ったり、砂の上に書いてみたり。感触を楽しみながら、自然と形に触れられます。
- 大きな紙にダイナミックに!: 床に広げた大きな紙に、体全体を使ってクレヨンなどで文字を書いてみましょう。
- ひらがなパズルや積み木: 遊びながら文字の形を認識できます。
「見てわかる!」工夫で、書くことをサポート
文字を書く練習をするときは、目で見てわかりやすい工夫を取り入れてみましょう。
- 書き順がわかるひらがな表: イラストや色分けで書き順が示されているものは、どこから書き始めるかが分かりやすくなります。
- 点線つきのなぞり書きプリント: まずはなぞることから。りんごなど、好きなものの名前から始めても良いですね。
- 動画教材の活用: 書き順を動画で見ると、動きが理解しやすくなります。
「少しずつ」を「毎日」楽しく続けるコツ
一度にたくさん練習するよりも、短い時間でも毎日続ける方が効果的です。
- 「1日5分だけ」と決めてみる: 集中力が続く短い時間で、負担感を減らしましょう。
- スタンプカードやシール: 書いた文字の数だけスタンプを押したり、シールを貼ったり。「やったね!」が見える形になると、達成感がアップします。
4.「好き」の力は無限大!~興味を引き出す工夫~
お子様の「好き」なものと文字を結びつけると、ぐっと興味が湧いてきます。
- 好きなキャラクターの名前: アニメの主人公や、大好きな動物の名前を書いてみる。
- お気に入りの文房具: 可愛い鉛筆やカラフルなペンを使うだけで、やる気が出ることも。
- お店屋さんごっこ: 「メニュー」「ねふだ」など、遊びの中で自然に文字に触れる機会を作りましょう。
もしかして…?専門家のサポートが必要な場合
「色々試しているけれど、なかなか文字を覚えられない…」 「文字の形がどうしてもぐちゃぐちゃになってしまう…」
もし、このようなお悩みが続くようでしたら、「発達性ディスグラフィア(書字障害)」の可能性も考えられます。これは、知的な発達に問題がなくても、脳の特性によって文字を記憶したり、整った形で書いたりすることが難しい状態のことです。けっして、お子様の努力不足や、お父さんお母さんの教え方が悪いわけではありません。
「ことばの相談室ことり」がお手伝いできること
ことばの相談室ことりでは、ことばの発達やコミュニケーション、読み書きに課題を抱えるお子様とその保護者の方々をサポートしています。
もし、お子様の文字のことでご心配なことがあれば、一人で抱え込まずに、ぜひ一度ご相談ください。言語聴覚士などの専門家が、お子様の様子を丁寧に見させていただき、以下のようなサポートを行います。
- なぜ文字を書くのが難しいのか、その背景を探ります。
- お子様に合った、具体的な練習方法や関わり方をご提案します。
- 必要に応じて、感覚統合の視点を取り入れた遊びや、教材の紹介も行います。
- 園や学校の先生との連携についてもアドバイスいたします。
焦らず、温かく見守ることが一番の応援です
お子様は、お父さんお母さんが思う以上に周りの雰囲気を感じ取っています。大人が焦ってしまうと、お子様も「できないこと」にばかり目がいってしまい、学ぶことへの意欲を失ってしまうこともあります。
一番大切なのは、「できた!」という喜びを親子で共有し、少しずつでも前に進んでいることを実感させてあげることです。「書くことが楽しい!」とお子様が心から思えるように、私たち「ことばの相談室ことり」も一緒にサポートさせていただきます。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
(文・堀美月)