「うちの子の言っていることが、時々よく分からない…」 「何度か聞き返すと、なんだか不機嫌になったり、話すのをやめちゃったりする…」
お子さんのことばが不明瞭で、そんな風に悩むことはありませんか? 一生懸命伝えようとしているお子さんの気持ちに応えたいけれど、どうしたらいいか戸惑うこともありますよね。
このコラムでは、言語聴覚士がマンツーマンでことばの相談やレッスンをおこなっていることばの相談室ことりから、お子さんの「伝えたい!」という気持ちを育むためのご家庭でできる具体的なことばがけの工夫を分かりやすくご紹介します。
お子さんは、自分の話したことが相手に伝わらないと、「わかってもらえない…」と不安になったり、自信をなくしてしまったりします。特に、発音がはっきりしない場合、何度も聞き返されることで話すこと自体が嫌になり、「もういいや…」と諦めてしまうことも少なくありません。
大切なのは、無理に聞き返そうとしない姿勢です。
では、お子さんのことばが聞き取れなかった時、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
聞き取れなかった時に、「ごめんね、聞こえなかった。もう一回言って?」とストレートに聞き返す代わりに、「もしかして、〇〇って言ったのかな?」と、お子さんが伝えたい内容を推測して返してあげましょう。
もし推測が違っていても大丈夫。「そっか、違ったね。教えてくれてありがとう」と明るく伝え、お子さんが話す意欲を失わないようにすることが大切です。
「推測すると言っても、どうすれば…?」そんな時は、以下のヒントを参考にしてみてください。
日常会話の中で、お子さんの発音の間違いを指摘したり、無理に言い直しをさせたりする必要はありません。さりげなく正しい発音を伝える「リキャスト」という方法が効果的です。
例えば、お子さんが「とー」と言った時に、「うん、トマトだね」と、正しい発音で返してあげるのです。このように、自然な会話の中で正しいことばに触れる機会を増やすことで、お子さんは負担を感じることなく、少しずつ正しい発音を覚えていくことができます。
たとえ発音が不明瞭でも、お子さんは一生懸命あなたに何かを伝えようとしています。その「伝えたい!」という気持ちをしっかりと受け止め、
など、ポジティブなことばをたくさんかけてあげましょう。「ママ(パパ)に伝わった!」「お話しするのって楽しいな!」という気持ちが育てば、自然と話す意欲やコミュニケーション能力も高まっていきます。
お子さんのことばの発達は、一人ひとりペースが異なります。今回ご紹介したような関わり方を続けることで、お子さんは発音に自信がなくても、安心して話せるようになっていくでしょう。
もし、ご家庭での関わり方に迷ったり、専門的なアドバイスが欲しいと感じたりした際には、どうぞお気軽にことばの相談室ことりにご相談ください。お子さんと保護者の方の気持ちに寄り添いながら、専門的な視点からサポートさせていただきます。一緒に、お子さんの「話したい」気持ちを大切に育んでいきましょう。
(文・堀美月)
―おしらせ―
熊本県熊本市中央区に、ことばの相談室ことりの2号店となる、
「ことばの相談室ことり くまもと桜町」が開室しました。
■ 所在地
熊本県熊本市中央区桜町1−28
桜町センタービル 406号室
※複合施設サクラマチクマモトからすぐ近くです