発音の誤りの種類のひとつで、息が舌の側面から漏れる音になってしまう状態を指します。
「し」「ち」「じ」「き」「ぎ」「り」「に」「ひ」など、
五十音表の「い」の段が言いづらいことが多いです。
ことばの相談室ことりでも、大人の方からのご相談が多い発音のひとつです。
側音化構音は、自然にはなおりにくいです。
「さかな」が「ちゃかな」になる、などの赤ちゃんことば( 幼児発音/幼児構音とも言います)であれば、成長に伴って5〜7歳ごろ、何も特別な指導をせずとも「さしすせそ」の発音を自然と獲得することもあります。
ですが、側音化構音の場合には、放っておいて正しい発音が自然に獲得されることはほとんどありません。
ことばの相談室ことりには、長年発音のお悩みを抱えたまま大人になられた方がたくさんご相談に来られています。
自力で治されたという方にも何人かお会いしたことがありますが、ネットの情報を頼りに苦労しながら練習を継続されたとおっしゃっていました。
はじめに、舌の脱力・母音の「い」の発声練習など、舌の構えの練習を行います。
それから個別の発音の練習に移ります。
また、長年、舌の使い方の”くせ”が残っている背景に、もともとの口周りの筋力や協調運動の弱さがみられることもあります。
そうした場合には、口腔周囲の筋力基礎トレーニングをご紹介・取り入れることもあります。
個人差がありますが、側音化構音の方は、舌の先や周りの筋力が弱いケースがあります。
舌を前に出した状態で柔らかく保つことが難しく、舌に力が入って棒のように細長くなったり、舌の先がまるまったりします。
また、普段から”落ち舌”といって、安静時に口の中で舌が下がっていたり、下顎ごと下がって口呼吸の習慣がついていることもあります。
発音滑舌の練習のためには、「舌の脱力」や「舌の安定」を目指す練習を行います。
舌全体を少し口の外に出し、適切な緊張・脱力のバランス状態で10〜30秒ほどキープできるようになるまで練習します。
シンプルな課題ですが実際に行ってみると意外に難しく、無意識にできるまでには時間がかかることもあります。
また、大人の方は長い時間ご自身の発音を自分の耳で聴き続けてもいるので、「濁り・歪みの無いただしい発音」と「濁り・歪みのある発音」の違いを聞き分ける耳を育てていくことも重要になります。
「自分の声を聴くのは苦手」とおっしゃる方も多いですが、ことばの相談室ことりでは録音をお録りして、その場で再生することもおこないます。
ただしい音が言えている状態を繰り返しご自身の耳にも聞かせ、耳でただしい音を判断する練習もすすめていきます。
舌で出すイ段子音は合計8つあります。
また、「ちゃちゅちょ」などの拗音とよばれる小さい「ゃゅょ」が付いた音にもイ段の「ち」が含まれており、拗音にも歪みが現れることが多いです。
イ段すべての音が苦手であれば、練習が必要な音がたくさんあります。
練習は、いくつかのブロックに分けて、一歩ずつ進めていきます。
拗音を含めると、「イ列(段)」の音は種類が多い
―おしらせ―
熊本県熊本市中央区に、ことばの相談室ことりの2号店となる、
「ことばの相談室ことり くまもと桜町」が開室しました。
■ 所在地
熊本県熊本市中央区桜町1−28
桜町センタービル 406号室
※複合施設サクラマチクマモトからすぐ近くです。