発音のお悩みと聞くと、小学生くらいのお子さんの話かな?
と想像される方もいるかもしれません。
しかし、小さい頃からずっと発音のお悩みを抱えたまま、大人になられてからご相談にみえる方も多くいらっしゃいます。
難聴に由来するケースや、舌小帯短縮症や口唇口蓋裂などの口腔内の形態の異常が背景にあるケースもあります。
なかでも、ことばの相談室ことりでお受けするご相談の多くは、特に原因のない構音の誤りである機能性構音障害に該当する方です。
特に原因が見当たらないことを、「機能性」と呼ぶことがあり、「構音障害」とは発音の誤りや発話が不明瞭であることを指します。
「機能性構音障害」では、
などの発音のときの”くせ”のようなものが起こっています。
たとえば、サ行が言えない、「つ」が言えない、カ行が言えない、ラ行が言えない、といったお悩みがあります。
例:さかな → 「たかな」「しゃかな」「ちゃかな」
例:さかな → 「さたな」/がっこう → 「だっとう」
例:らいおん → だいおん・やいおん
上記に挙げた例は、どちらかといえば、お子さんに多い発音のお悩みです。
大人の方には、「側音化構音(そくおんかこうおん)」と呼ばれるイ列音(イ段音)の「ち」「し」「じ」「に」「り」などが言えず、音が歪んでしまうお悩みがとても多いです。
50音表のうち、イ段(列)の音が歪む
側音化構音とはどのような発音の誤り(苦手)なのか、説明していきます。
側音化構音でない人の発音では、空気が口の中央(正中)を通って「し」や「ち」が話されます。
側音化構音の場合、左右のどちらかに、息の流れが偏っていることがあります。
下顎を左右どちらかにずらし、もう一方の口角(唇の端)を横にグイッと引き、口のはじに息の通り道を作り、そこから「し」や「ち」の音を発しているようすが見られます。
そうすると、息が口の中央ではなく、はじから流れ出ます。
口の中では、舌の偏り(かたより)がみられます。
舌は通常、口のなかで身体の正中軸に沿った位置で前後や上下に動きます。
ところが、側音化構音の場合には、舌の左右どちらか側がべったりと上顎や上の奥歯の内側にくっついた状態のまま話している状態、左右の動きのアンバランスが起こっています。
側音化構音の仕組み(メカニズム):舌の位置・動かし方が左右どちらかにズレている
ひとくちに側音化構音と言っても、個人差と程度がいろいろとあり、人によって苦手な音も違います。
他の音も含めて、話しているときの舌の使い方全体のバランスが悪いこともあるため、言語聴覚士によるレッスンを受けるとよいと思います。
気になることがございましたら、いつでもことばの相談室ことりにご相談ください。
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